大工さんの借入れ(その7)

大工さんの借入れ(その7)

決算の実態をみてもらえるとありがたいです(^^;)
実際には、山田さんの場合、いきなり希望する600万円を借りるのは難しいでしょう。住宅ローンも2500万円残っていますし、毎年の利益も400万円程度と小さなものになっているためです。
決算書の利益がもう少し計上できていれば、借りられる金額も大きくなります。
実務の現場ではよくあることですが、納税額を抑えるために、決算書の経費が過大計上になっていることがあります。
あなたも覚えがありませんか?
ありますよね。
大体みなさん、そうなんですよ。

個人事業ですと、専従者控除や青色申告特別控除など実際には経費として支出するものでなくても税法上の恩典として納税額を小さくえきるように一定の経費が認められています。
また、事業上の必要経費と個人的な支出との間のグレー部分の支出というものが必ずあります。
例えば接待交際費がその典型で、税金の計算上は必要経費として計算した方が納税額は小さくなり有利ですが、利益が少なくなる分、借入れに際しては不利になります。

覚えておいてくださいね。
税金を少なくする決算書は、借り入れをしにくくする決算書なんです。
どちらを立てるかは難しい問題です。
バランスを上手に取ってくださいね。

このように、実務上は決算書に表れている数字と、実際の数字とが異なることが珍しくありません。
国民生活金融公庫では、このような数字の乖離をある程度は理解して、実際の利益水準を基に融資の判断をしてくれることがあります。
山田さんのケースであれば、本当に年間の利益が400万円しかないようですと、3人の子供を養いながら住宅ローンを返済するのは少し厳しいでしょう。
ですから、実際にはもう少し利益水準が高いことを説明すれば、国民生活金融公庫の窓口では耳を傾けてもらえる可能性があります。(子だくさんだと、生活費がかかるので返済が難しくなるでしょと言われちゃう可能性もありますが・・・。)
普通の銀行であれば、決算書に表れた利益を基に判断するのが原則で、よほどのことがない限り、このような事情は汲んでもらえません。
この点でも、国民生活金融公庫中小零細企業の実情を理解してくれて、柔軟な姿勢をみせてくれるといえましょう。

ただし、決算書には正しい情報を表示するのが経営の大原則です。
国民生活金融公庫も決算書の数字に基づき融資の審査をするのが原則ですので、「銀行ほどガチガチに硬くはない」といった程度と理解しておいて下さいね。

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